金利が上がると株価はどうなる?17年分のデータを集計した結果

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個人投資家。元Yahoo!株価予想達人。
同サイトで25歳で「ベストパフォーマー賞」「通算最高勝率者賞」受賞。2006年ルービックキューブ日本大会準優勝。MENSA会員。座右の銘はヘンリー・フォードの「本当の失敗とは、失敗から何も学ばないことである」

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From: 中原良太
自宅のリビングより、、、

この記事では、
「金利が上がると株価はどうなるか?」
を特集します。

理論編:金利が上がると株価はどうなる?

この記事では、
金利=日本の短期国債の金利
という前提で話を進めます。

まずは理論的な話から。

理論的には、金利が上がると
株価は下がると考えられます。

その理由は3つ。

1つ目の理由は
「国債の金利が上がると
ノーリスクで儲ける手段が増え
リスク
テイク旨みが減る」

からです。

たとえば、

国債の金利が5%の場合、
実質ノーリスクで年5%の
金利収入を受け取れます。

このような状況では、
「配当利回り5%の株」
は美味しくないです。

リスクを取って配当5%と
無リスクで国債金利5%なら、
無リスクの国債の方が映えます。

だから、国債金利が上がると、
株価が下がるのが合理的です。

2つ目の理由は
「国債の金利が上がると
上場企業の利払いが増えて
業績が悪くなるから」

です。

上場企業の多くは
「お金を貸す」側ではなく
「お金を借りる」側です。

だから国債の金利が上がると、
借入金の利息の負担が増えて
固定費が重たくなります。

金利が上がって業績が悪化すれば、
企業価値も下がってしまいます。
だから、株価も下がるのです。

3つ目の理由は、
「国債の金利が上がると、
日本円の買い圧力が強まり
円高になりやすいから」

です。

金利が上がると
日本の国債を買うために
日本円が買われやすいです。

一方、

日本の主力企業は輸出企業なので、
円高で業績が悪化しやすいです。

だから、

金利が上がり円高になると
主力企業の業績が悪化して
株価が下がる恐れがあります。

以上をまとめると、

国債の短期金利が上がると、
「無リスクで儲ける手段が増える」
「業績が悪化し企業価値が下がる」

ことになるので、

株価が下がる恐れがあります。

経験則編:金利が上がると株価はどうなる?

ここまでは理論的な話でした。

しかし、理論と現実は違います。

もしかすると、
「金利が上がると株価が上がる」
場合もあるかもしれません。

そこでこの疑問に答えるため、

日経平均株価に連動するETFの
月足を過去17年分集計しました。

具体的には、

以下の2パターンを調べ、
「金利が上がると株価がどうなるか?」
を調べました:

  • パターン1:金利上昇時(日本国債2年金利の月足終値が前月よりも上がったら翌月始値に株を買い、日本国債2年金利の月足終値が前月よりも下がったら翌月始値に株を売る)
  • パターン2:金利下落時(日本国債2年金利の月足終値が前月よりも下がったら翌月始値に株を買い、日本国債2年金利の月足終値が前月よりも上がったら翌月始値に株を売る)

以上の2パターンで集計した結果、
日経ETFの成績は次の通りでした:

2006年10月01日〜2024年03月01日の日経ETF(1321)の月足データを集計した結果。日経ETF(1321)は金利が上がると株価が上がりにくく、金利が下がると株価が上がりやすいと言えそうだ。

上のグラフを見てみると、

日経ETFは金利が上がるでも
株価は上がっていました。

また、金利が下がると、
もっと株価は上がりました。

金利が上がること自体は
株価にマイナスのようですが、

「現実は株価が下がるとは限らず
株価が上がりにくいくらいだった」

と言えそうです。

詳しい原因を調べるため、

金利が上がる時の株価の
累積リターンについても
調べてみることにしました。

集計結果は以下の通りです:

2006年10月01日〜2024年03月01日の日経ETF(1321)の月足データを集計した結果。2020年以降を除くと、日経ETF(1321)は金利が上がると株価が上がりにくいようだ。一方、2020年以降はインフレが加速し、金利が上がることはあっても実質金利はマイナスだ。多少の金利上昇があっても、株価は上がり続けている。

上のグラフを見てみると、

2006年から2020年にかけて
日経ETFは金利が上がるとき、

株価が上がりにくかったです。

やはり金利が上がると、
景気が冷やされるため、
株価が重たくなるようです。

一方、

2020年のコロナショック以降は、
アメリカと中国の対立が激化して、
物価が上がり始めました。

すると、

多少、金利が上がっても、
実質金利は低いままなので、
今のところ株価は上がっています。

足元ではさまざまな商品の
値段が上がってきていますが、

金利が上がるときでも、
商品を値上げできれば、
好業績で株価も上がる。

ということでしょう。

これは思いつきませんでした。

中原は一時期、
「金利が上がると株価が暴落する!」
思い込んでいたことがありました。

しかし、

全体を通して見てみると、
「金利が上がると業績にマイナスで
現実では株価が上がりにくくなるが
株価が
必ず下がるとはかぎらない」

と言えるでしょう。

それに、

銀行や保険など
「金利が上がると業績が好転して
むしろ、株価が上がりそうな株」
もあります。

「金利が上がると株価は下がる!」
のように決め打ちせずに、

金利が上がると、
自分の投資先にどう影響し、
株価がどう動くのか?と、

ていねいに吟味して、
客観的に判断すべきですね✨

– 中原良太

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