日経平均株価が過去最大の上げ幅、暴落はもう落ち着いた?

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個人投資家。元Yahoo!株価予想達人。
同サイトで25歳で「ベストパフォーマー賞」「通算最高勝率者賞」受賞。2006年ルービックキューブ日本大会準優勝。MENSA会員。座右の銘はヘンリー・フォードの「本当の失敗とは、失敗から何も学ばないことである」

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日経平均株価が過去最大の上げ幅、暴落はもう落ち着いた?

8/6、日経平均株は3217円上昇し、史上最大の上げ幅となりました。8/5に史上最大の下げ幅を記録したばかりですが、その直後に最大の上げ幅を更新しています。ジェットコースターのように動いています。

そもそも、どうして日経平均株価が暴落したのか?というと、昨日も話したとおり「円キャリー」が原因だと思います。

円キャリーというのは「金利の低い円を借りて、外貨などで貸し出して高い金利を受け取る」という取引で、その残高が大きく膨れ上がっているそうです。

きのう知ったのですが、円キャリーはこれまで何度も繰り返されているようです。そもそも日本銀行は「世界でもっとも利上げが遅い」ですから、低い金利で円を借りてキャリートレードするには格好の的のようです。

ためしにperplexityで調べてみたところ、リーマン危機前の2006年〜2007年にもキャリートレードは膨れ上がっていたようです。「歴史は韻を踏む」と言いますが、韻を踏むどころかそのまんま繰り返していますね。

Just a moment...

これからの問題は「じゃあ、暴落はもう落ち着いたのか?」「はたまた反発が終わってしまったのか?」という所だと思います。

これまで僕は「短期的な底は火曜日になるんじゃないか」という話をしました。その根拠は「過去にそうだったから」という弱めのものでしたが、それは当たりましたね。

ただ、これはあくまで「短期的には火曜日に底打つことが多い」という話をしただけで、「その先も上がる」という話ではありません。

キャリートレードの問題は別に解消していませんし、8/6に8/5の下落幅の大部分を取り返してしまったこともあるので、僕としては「暴落が終わった」というより「反発が終わった」というふうに捉えています。

もっとも警戒すべきは「キャリートレードの影響で飛んだ金融機関がないか?」じゃないでしょうか。どこかのファンドが飛んでいて、それが別の会社にも飛び火して…と連鎖するようなら、まだまだ下がるリスクイベントになりそうです。

一方、特に潰れたファンドがなく、あるいは潰れたとしても影響が限定的なのであれば、「日銀の利上げで相場がびっくりしちゃった」くらいの話で済むかもしれません。要経過観察といったところでしょうか。

僕はいままで通り「自信のある株はガチホ」で、「問題が見つかったら別の株へ乗り換え」という対応で乗り切ろうと考えています。いやあ、含み損がすごいことになってます💦

暴落で分かる、機動力のある会社

8/5の暴落を受けて、「はて、どんな株を買おうかな」と考えていたところ、4年前のツイートが出てきました。それがコチラ:

4年前と言えばコロナショック。このときも日本株は大きく下がりました。

そんな中、上場企業で「すごい決断をしたなー」と感動したのがソフトバンクグループの自社株買いでした。

ただでさえパンデミックで「これから先がどうなるか分からない」と不安が渦巻いていたのですが、同社は果敢にも大規模な自社株買いを発表したのです。

ご存じとは思いますが、自社株買いというのは「自分の会社の株を買い戻す」ことでして、配当金と同じように株主還元の1つとして知られています。

自社株買いは「うちの会社の株は安い、あなた達が安く売ってくれるんなら、うちが買い取りますよ」というメッセージを示すサインでもありまして、ソフトバンクグループは暴落しているときに力強いメッセージを出しました。

当時は、全世界で「ロックダウン(都市封鎖)」が行われ、レストランは閉まっていて、満員電車なんて怖くて乗れない、まるでこの世の終わりみたいな風景でした。

こういうときだからこそ、ふだんは見えない経営者の機動力というか底力が見えた気がしました。

そこで、「そういや今回の暴落で、自社株買いを発表したところはあるのかな?」と思って調べてみました。しかし、残念ながらほとんどの会社は自社株買いを発表していませんでした。このことからも、孫社長の手腕がうかがえる気がします。

それでも、何社かは自社株買いを発表していて「カッコいい!」と感動しました。具体的には、伊藤忠商事や、キヤノン、東邦HDなんかが自社株買いを発表してましたね。

「機動的な資本政策(キリッ)」なんて言う会社は山ほどあるけど、「機動的な資本政策」ってこういうことだと思うんです。相場が荒れると「口だけの会社」と「有言実行の会社」が見分けられたりするので、覚えときたいですねー。

頂いたコメント

キャリートレードの規模

きのう「日経平均が暴落した原因は、たぶんキャリートレードだ」と話しました。ただ、このキャリートレードの規模感がいまいちよく分からなかったんで、個人的にいろいろと調べてみました。その結果がコチラ:

一部の記事では「3000兆円(20兆米ドル)」という途方もない数字が出ていましたが、根拠がはっきりせず誇大表現な気もします。

あれこれ調べても数字がまちまちで、もっとも納得感があったのは「国際決済期間(BIS)のデータによると、2021年以降、国境を超えた円の借り入れは7420億円ドル増加した」という記述でした。

だいたい日本の国家予算が100兆円くらいで、それと同じくらいのキャリートレンドが膨らんでいるという感じかな。たしかに、これだけ積み上がっていれば、0.15%の利上げでも相場がパニックになる気がします。

アメリカの失業率って、そんなに問題なの?

失業率が低いままだと人手不足=インフレが収まらないんで、「失業率があまり上がらないようにしながら、失業率を最小限にとどめつつインフレを抑える」というのが金融政策の目指す理想といえます。

それでも、さいきんメディアが(僕も)こぞって「失業率が急増した!やばいかも!」といっているのは、サーム・ルールという経験則が点灯したからでしょう。

サーム・ルールというのはエコノミストのクラウディア・サームさんが考えたもので「失業率の3カ月の移動平均が、12カ月間の水準を0.5%上回った」ら発動します。ざっくり言えば「失業率が急激に上がるとヤバい」というものです。

失業率がゆっくり上がっているなら「ゆるやかにインフレを抑えられている」というので良いんでしょうが、あまりに急激だと、仮に金融緩和に乗り出しても対応が遅れてしまってひどく景気が落ち込むリスクが出てきます。

金融緩和の効果が出てくるまでには半年くらいかかります。金融緩和が効いてくるころには失業率がどんどん上がっていって、企業がバッタバッタと倒れていく…落ち込みになりかねません。

サームルールに照らして考えると「景気とともに失業率がゆっくり上がる」のは良いのでしょう。これなら、仮に失業率が上がっても、また金融政策を調整すれば景気がひどく冷え込むまえに金融緩和が効いてきて調子を戻せるからです。

すごい逆張りのシグナル

コロナのときと同じで、twist on the Monday effectの大勝利でしたね。

twist on the Monday effect(月曜ねじれ効果)」というのは「月曜日は前週金曜日と同じ動きになりやすい」というアノマリーのことで、けっこう強力です。

つまり、「金曜下がる→月曜下がる→火曜上がる」となるパターンがけっこうあり、今回もこのパターンになりました。2020年3月のコロナショックと同じですね。

8/6に鬼のようにリバウンドしたため、きのう話した「すごい逆張り」のチャンスはもう過ぎてしまいました。もうちょい反発の幅が小さくて、日経平均が「2000円」くらいの反発にとどまっていたら、いまから買っても一段高しそうだったんですけどね。

大きく下がって、大きく戻って、また仕切り直しです。安く買うチャンスは過ぎたと思うので、いまは「上がるも下がるも五分五分」というイーブンで仕切り直しでしょうね。

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