【続編】NISAで買いたい株

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個人投資家。元Yahoo!株価予想達人。
同サイトで25歳で「ベストパフォーマー賞」「通算最高勝率者賞」受賞。2006年ルービックキューブ日本大会準優勝。MENSA会員。座右の銘はヘンリー・フォードの「本当の失敗とは、失敗から何も学ばないことである」

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続・NISAで買いたい株

前回の記事で、読者から頂いた以下の質問を取り上げました:

NISA枠での株式購入を検討しています。記事を拝読していますとノジマやハマキョウが候補かなと思っています。NISAで買うならこれと、中原さんのお薦めを教えて頂きますと有り難いです。

「あなたにはこれがおすすめ!」なんてことは烏滸がましくて言えないんですが、個人的に好きな株ならたくさんありますね。

筆頭は中原指数に組み入れている銘柄ですね:

前回は明豊FWを取り上げたんで、今日はトヨタ自動車(7203)を取り上げましょうか。

トヨタ自動車といえば、言わずもがな日本を代表する大企業です。トヨタといえばトヨタ生産方式。これが企業に根付いているのが「めちゃくちゃ強い会社」と感じます。

トヨタ生産方式の柱は3つあって、1つは「ニンベンのついた自働化」、もう1つが「ジャストインタイム」ですね。最後は「全体最適」です。

「ニンベンのついた自動化」というのは、人手を減らすことのできる自動化ですね。

仕事を自動化するときにありがちなのが、「人の仕事を機械に任せたのは良いけれど、結局、作る仕事から機械を監視する仕事に変わっただけで、仕事が減らない」みたいなことがあるんですよね。

最近はchatGPTとかでも似たような経験している方が多いと思うんですけど、「生成AIに仕事を任せてみたけど、結局、彼らの仕事をチェックする仕事ができるから仕事は減らない」みたいな感じです。

もちろん、Excelのマクロとか、単純作業を減らすくらいは誰でもできるわけですが、知的労働を減らそうとすると、案外難しいわけですね。

トヨタはここに注目して「人間の仕事を本当に減らせる自動化」にこだわっていて、特にこだわったのが「品質管理」機能です。

たとえば「自動車を作る機械」とかだと、欠陥品が出てきた時には自動で停止する機能を機械に持たせるわけですね。そうすることで、不良品を大量生産して「全部ゴミだ〜!」みたいなリスクを防ぐわけです。

こうして、本当の意味で人間の生産性を高める「自働化」を徹底することで、可能な限り少ない人員で、最大のパフォーマンスを出せるよう追求してきたのがトヨタなんですよね。

2つ目が「ジャストインタイム」です。

これは「必要なものを、必要なタイミングに、必要なだけお客様に届ける」ことです。

仕事をしている時にありがちなこととして、「そのうち必要になるかもしれないから、多めに作っておこう」みたいな仕事をすることってありますよね。

いわゆる「見込み生産」とか「先回り」というやつなんですが、こういう先回りって、空回りになると全部無駄になるんですよね。

よく「世の中を先回りして動け!」とか言いますけど、未来の予想なんてそう簡単に当たるもんじゃないんで、予想が外れてそもそも不要だったら無駄になって、時間とかお金が失われてしまうわけです。

予想が当たったとしても、「先回りの度合い」も大事で、ドンピシャで必要なものを必要なタイミングで提供できれば最高効率ですが、先回りが早すぎると今度は待機時間が増えすぎてそれはそれでムダです。

だからトヨタでは「かんばん方式」(いわゆる受注方式みたいなもの)で、必要になったものを、必要なタイミングで、必要な量だけ提供する、という仕組みづくりを徹底しているんですよね。

これは僕ら投資家でもイメージできると思うんですですが、「ああ〜!この株、別にいま買わないでもよかったな〜!」みたいな失敗ってたくさんあるじゃないですか。

特に「将来これが伸びる!」と思って先回りした株って、結構コケますよね。それって、先回りし過ぎてしまって、当てが外れたり、待機時間がムダになったりするからなんですよね。

最後が「全体最適」で、これはビジネス小説の「ザ・ゴール」の話でもあります。イスラエルの物理学者エリヤフ・ゴールドラットが書いた本で1000万部も売れた世界的ベストセラーです。

ゴールドラットは企業の業績を伸ばすためには、1つ1つの細かい工程で最適化するのではなく、全社的にみて最適化(全体最適)するのが大事だ、と説きました。

そのためには、業績を制約するボトルネック(制約条件)に合わせて会社を調整する必要があるわけなんですが、この理論はトヨタ生産方式から着想を得たそうです。

Amazonのジェフ・ベゾスも絶賛する本ですが、そのルーツを辿るとトヨタに行き着くわけですね。

日本企業は「部分最適」な会社が多いなーと思っていて、SNSでも見かけたんですが、戦略レベルのミスを戦術レベルでカバーするのが好きすぎると思うんですよね。

言い方を変えると、「社員は優秀だから現場は強い。でも経営陣はポンコツだから組織としては微妙」という感じですね。

だから日本の上場企業の半分はROEが8%を割れていて「最低限のハードルレート」すら未達になるわけですが。

少なくともトヨタ自動車は「全体最適お化け」みたいな会社だと思うんで、この罠にはハマらないと思うんですよね。トヨタ創業家の目が黒いうちは大丈夫な気がしています。

あとは立地的な話として、トヨタといえば愛知県ですが、この周辺は製造業のクラスターができている地域でもありますね。

トヨタ生産方式に馴染みがある会社もたくさんあるはずで、前に紹介したシステムリサーチ(3771)とかもこのクラスターに属している会社です。

マイケル・ポーターの「国の競争優位」でもクラスターの重要性が説かれていますが、クラスターに所属している企業は、産業集積のおかげでサプライヤーが多かったり、産業集積で競争が激しいがゆえにビジネスセンスが磨かれたりして、強い会社が出てきやすいんですよね。

この中で良い事業立地を持っている会社は当然強いわけで、トヨタ自動車なんかは、クラスターのど真ん中にある企業で、本当、日本の将来を背負っている会社だと思います。

クラスターの話だと、静岡の浜松とかはバイクのクラスターがありますね。ホンダとかヤマハとか、カワサキとか。

東海地方や中部地方には自動車クラスターやバイククラスターの関連企業がたくさんあります。

これらの地域は日本の「真ん中」に位置しているので物流拠点としてはちょうど良いですし、広い平野があるので工業用地を確保しやすかったんですね。

トヨタもすごいですが、二輪もすごいですよね。日本の二輪車は世界的にもシェアが高いですし、インドネシアなどのアジアでもしっかり根付いています。

そもそも日本は国土が狭いし、山も多かったり戦後の道路環境も悪くて、「小型で小回りの効く乗り物」のニーズが強かったんですよね。

それで庶民の足として自転車にエンジンを乗せたホンダの二輪車が爆発的なヒットになったわけですが、このニーズは、日本だけでなく海外にもあるわけで、まさに先駆的な立ち位置だったと思います。

ホンダは最近、業績が停滞していて残念なんですが、そうは言っても「日本のバイク」はやはり強いな〜と思っていて、うちでも関連株はいくつか持っていますね〜。

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