From: 中原良太
自宅の書斎より、、、
「俺の夢は、大学1年の春に終わった」
T君は言いました。
先日、起業家のT君とランチに行きました。T君は大学時代のクラスメイトで、大学を中退し起業し、いまではそこそこの経営者として一線で活躍しています。
「どうして、大学を辞めたの?」と僕が尋ねると、
T君は「夢を描いていた物理の世界に限界を感じたから」と答えました。
「物理の世界に限界を感じた?」
「そうなんだ。最初は物理を学べば未来を予知できると思っていたんだ。例えば物理法則を使って、世界の全てを知ることができると真剣に考えてた。でも、実際は違うって分かってさ。量子物理学の最初の最初に「未来は分からない」と全否定されちゃってさ。そこで熱が冷めちゃった」
T君は苦笑交じりに言いました。
僕はその話に共感しました。
「夢が大学1年で潰れたのは、ちょっと分かるなぁ。でも、それがどうして大学中退してまで起業する話につながったの?」
「真理を暴きたいという気持ちが行き場を失って、もう何をして生きていけばいいか分からなくなったんだ。夢はもうなくなってしまったし、とやかく考えるより分かりやすくカネを稼げるようになりたい!と思ったのが大きかったかな」
夢を追うか、カネを稼ぐかで悩む人は多い。T君の場合は夢がなくなったから金儲けに全力を注いだようでした。夢がなくなったからこそ、金儲けに極振りできたのかもしれません。
「世界の真理を暴きたい」という気持ちは、誰にだってあるものです。
芸能ニュース、政治の裏話。陰謀論。科学。宗教。なんでもそう。
行き着く先…思想や形は違えど、誰もが「真理を知りたい」と思っています。そして、自分がもっとも腑に落ちる答えを探し求めています。
僕もT君と同じで、「物理や化学で世界の真理を知りたい」という気持ちは、大学1年の頃に冷めました。代わりに「株式市場の真理、上がる株と上がらない株の違いを知りたい」と思うようになりました。
この「真実を知りたい」という気持ちは、たぶん一生なくならないと思うんですよね。そして、株式市場では「事実は小説よりも奇なり」で、よく分からんことが沢山おきます。
投資を始めてからの15年、やっと少しは理解できるようになったと思いますが、未だに分からないことも多く、投資判断を間違えることもたくさんあります。
株はよく分からん。腑に落ちないこと沢山ある。でも、よく分からんから、きっと楽しいんですよね。すべてが分かることは一生ないだろうけれど、もし分かるのであれば、きっと退屈になってしまうのでしょう。
こういうとき、「自分は天才じゃなくて良かった」と感じます。たぶん、株のことを理解できてしまったら、こんなにハマらなかったです。
考えても考えても分からない。ときには考えることすら嫌になる。でもちょっと時間がすると、また戻ってきてしまう。
そんな魅力が株式市場には宿っている気がします。成功もあれば失敗もあり、ときには酒に溺れたくなるほど辛いときも…というかそうなりかけたときも…ありますが、やはり楽しい。ジジイになっても続けたいですなぁ…。
– 中原良太
PS
ちなみに、あなたが株を続ける理由は何ですか? 僕と同じなんだろうか…?
PPS
メルマガ登録よろしくお願いします。投資のヒントや最新の市場分析をお届けします。
コメント