東日本大震災は「サヤ取り投資家」にとっては悲劇だった?

東日本大震災は「サヤ取り投資家」にとっては悲劇だった?
東日本大震災は「サヤ取り投資家」にとっては悲劇だった?

前回は、「リーマン・ショック」について、その対処法をご紹介しました。じゃあ、今回は「東日本大震災」のときのお話しをしましょう。

「リーマン・ショック」では、全ての株が大暴落し、「株を売りたくても売れない」という悲劇が起こりました。暴落後にもなかなか株価は上がらず、大幅な円高も進み、多くの日本の大企業はあっという間に窮地に追い込まれました…。

前回の記事は、こんな「大暴落」で、どのようにして対処すれば良いのかをご紹介しました。

まだ、読まれていないという方は、以下のリンクから読んでみて下さいね^^@

ところで、リーマン・ショックでの大暴落を経験した方と比べると、「東日本大震災での暴落なら経験したよ!」という方は沢山居るんじゃないでしょうか?

リーマン・ショックのときと比べて、あの時はそこまで株価は下落しませんでした。すぐに相場は元の水準近くにまで戻りましたし、「大した痛手は被らなかった」という方が多いのではないでしょうか?

…ですが、こういった『天災』による大暴落のときに、大損をした投資家達が居ます。

それは『サヤ取り』をしていたトレーダー達なんです。

そもそも『サヤ取り』とは何なのか? そして、サヤ取りトレーダー達が震災時に大損してしまったのは何故なのか?

今回は、これらの疑問にお答えしていきます。

 

目次

  1. 株式投資で行われている「サヤ取り」とは?
  2. 東日本大震災で起きた「サヤ取り」トレーダー達の悲劇
  3. まとめ:「サヤ取り」は万能ではない。

 

1. 株式投資で行われている「サヤ取り」とは?

株式投資で行われている「サヤ取り」とは?

「サヤ取り」という言葉を聞いたことのない方も居るかもしれませんね。

まずは、サヤ取りの定義や、この投資手法を株に応用するための方法をご紹介していきます。

「サヤ取り」の定義は、以下のとおりです。

サヤ取り:別名「裁定取引」「アービトラージ」「ペアトレード」とも呼ばれる。「売り」と「買い」を同時に行い、その価格差の伸縮から利益を狙う投資手法。

以上が、「サヤ取り」の定義です。

…これだけではちょっと分かりにくいかもしれませんね^^;

そんな方は、例を見てみれば理解がはかどると思います!

では実際に、株でサヤ取りをする方法を2つ、ご紹介しましょう。

 

1-1. 証券会社間の価格差からサヤを取る。

1つ目は、複数の証券会社間で発生する価格差を利用して、利益を出す方法です。たとえば、「東証」と「名証」の両方で上場している株があったとしましょう。

名前を「中原カンパニー」とでもしましょうか笑

このとき、上場している取引所が異なると、まれにこんなことが発生します。

  • 東証では、「101円」で売買されている
  • 名証では、「100円」で売買されている

こんな事態が起こるわけです。

価格差はわずかですが、「全く同じ株が、同じ時間に、別の価格で取引されている」ということもあり得るんですよね。

こういうときには、同時に2つのポジションをとるだけで、ほぼ100%の確率で利益が得られます。その方法とは、

「安い方を買って、高い方を空売りする」というもの。

同じ時間に、全く同じものを売買している訳ですから、価格差を見つけたらあとは、その価格差が埋まるのを待ち、両方のポジションを閉じるだけで1円分の利益が得られるってこと。

…もっと分かりやすい例を挙げると、

  • 「iPhoneを5万円で売りたい」という人
  • 「iPhoneを10万円で買いたい」という人

この2人を見つけたら、儲けものですよね。

まず、iPhoneを10万円で買いたい人から金をもらい、それと同時に、iPhoneを5万円で仕入れるだけ。

上述した2者は願いが叶ってハッピーですし、間を取り持った私も5万円得してハッピーという寸法です。

…これだけを読むと、サヤ取りはまるで夢のような手法なのですが、現実こんなに上手くは行きません。

なぜなら、今では、大手証券会社やヘッジファンドが超高速コンピュータを使って全自動でサヤ取りを行っています。つまり、サヤが発生しても、1000分の1秒も経たずにコンピュータが自動売買をしてしまうため、私たちは到底サヤになど気付けなくなってしまったんです。よって、われわれ一般的な投資家にはできない芸当です。

ですが、サヤ取りの方法はこれだけではありません。株式投資では、もう1種類のサヤ取り手法があるんです。

これは、一般的な投資家にでもすぐ実践できます。

 

1-2. 類似企業のペアからサヤを取る

先ほどご紹介したサヤ取りは、すでに高速コンピュータのせいで一般投資家には手が出せません。…ですが、複数の企業を使ったサヤ取りならば、まだまだ使えると考えられています。

たとえば、先ほどの例にも挙げた「中原カンパニー」の競合に、「中山カンパニー」というのがあるとします。

どちらも殆ど同じ商品を売っており、株価も殆ど同じ。ここ1年くらいは殆ど同じ値動きをしており、時価総額も同程度。

…まるで、双子のような企業ですよね。

ですが、もし、この2つの企業の株価が、急に真逆な動きをしたらどうでしょうか?

たとえば、

  • 中原カンパニーの株価が急に10%上がった
  • 中山カンパニーの株価が急に10%下がった

こんな感じの値動きです。

2つの企業の価値は殆ど同じです。販売している商品も同じ。

そんな2つの企業の株価が逆方向に動いたら、「安い方を買って、高い方を空売り」すれば、利益が出るとは思いませんか?

このように、サヤ取りは異なる2つの企業ペアを探して売買することも可能です。

実際にこの手法を使って安定的に利益を残しているプロのトレーダーも居ますので、信憑性の高い投資手法だと言えるでしょう。

 

2. 東日本大震災で起きた「サヤ取り」トレーダー達の悲劇

東日本大震災で起きた「サヤ取り」トレーダー達の悲劇

先ほどご紹介した「2つ目」のサヤ取り手法。

ローリスクで良い投資手法に見えますが、実はこの投資手法にも大きな弱点があるんです。これは、東日本大震災のときに起きました…。

サヤ取りでは似たような企業をペアとして選ばなければなりません。

ですから、

  • 東京電力と関西電力
  • JR東日本とJR西日本

こんなペアが使われることが多かったんですよね。特に、後者は、両方とも同じJRですから、経営体質も似ているはずですし、「似通った値動き」をする傾向が強いと考えられます。

ですが、、、

東日本大震災が起きた時は、「東日本」と「西日本」では、被害が全くことなる状況になったんです。

つまり、「東京電力」や「JR東日本」は震災の影響を大きく受けましたが、「関西電力」や「JR西日本」はあまり震災の影響を受けませんでした。

この影響から、今までは双子のように似ている企業ペアだったのが、一瞬にして「全く異なる企業」になってしまったんです。

震災時には、今までサヤ取りでコツコツと稼いできたトレーダー達は、今までの利益を吐き出してしまいました…。

以上のように、「ほんの1つの出来事」のせいで、サヤ取りは機能しなくなってしまうことがあるんです。

 

3. まとめ:「サヤ取り」は万能ではない。

まとめ:「サヤ取り」は万能ではない。

一見、ノーリスクにように見えるサヤ取り。

ですが、震災のように、「同じように見えた企業が、一瞬にして全く違う状況におかれてしまう」というリスクに晒されていることがお分かりいただけたでしょう。

利ざやが小さなサヤ取り。コツコツ稼ぐ手法であるがゆえに、こういったリスクは十分に吟味しておく必要があるでしょう。

それでも、まだまだ利益を出す可能性を秘めていることも事実。ぜひ、1つの投資法として、あなたも検討してみてはいかがでしょうか?