【保存版】投資家が正しい意思決定を行うために理解すべき3つのヒューリスティックと12のバイアス

【保存版】投資家が正しい意思決定を行うために理解すべき3つのヒューリスティックと12のバイアス
【保存版】投資家が正しい意思決定を行うために理解すべき3つのヒューリスティックと12のバイアス

投資家にとって最も恐ろしいのは「バカな自分自身」。

投資を行う方が抑えておくべき学問の1つに、心理学があります。何故なら、株価を形成するのは投資家達であり、投資家達は全て人間だから。

人の行動特性や意思決定プロセスの傾向を知ることで、誤った意思決定を回避したり、更には周囲の投資家の動きを確率論的に予測することが可能となります。

難しいことばばかりで混乱している方もいるでしょうが、構える必要はありません。意思決定は私達が普段から行っていることであり、日常生活に密接に関係しています。

今回は、投資家ならば絶対におさえておきたい意思決定の3つのヒューリスティックと12のバイアスをご紹介しましょう。必ず役立ちますので、最後までお付き合い頂ければ幸いです。

 

目次

  1. ヒューリスティックとは?
  2. 利用可能性ヒューリスティック
  3. 代表性ヒューリスティック
  4. 確証ヒューリスティック
  5. まとめ:投資家は「無意識」に逆らわなければいけない。

 

12のバイアス

 

1. ヒューリスティックとは?

ヒューリスティックとは?

ヒューリスティック:人が問題解決などのために意思決定を行う際、無意識に用いる簡便な解法

ヒューリスティックという言葉には馴染みの無い方が殆どでしょう。和訳すれば簡単で、経験則のことを指します。

ヒューリスティックとは、深く考えたりせずに回答を出すための無意識的な解法・法則です。これだけを聞くととても難しく聞こえますが、日常の例で考えると簡単に理解できます。

(例)朝ごはんに何を食べようか?

→簡単につくれる何かが良いな。
→トーストにしよう。
→実際、トーストだけでは栄養に偏りがあり、最善な意思決定とは言えない。

このように、私達は無意識的に意思決定を行い、「まぁまぁな選択」で妥協することが沢山あります。というのも、人には2つの思考パターンがあるためです。

  • 無意識的に理由付けし即座に意思決定して、まぁまぁな結論を得る思考パターン
  • 意識的に深く現状分析し長い時間をかけて、最適な解を見つけ出す思考パターン

全ての意思決定において最適解を見つけ出すのが理想ですが、人間はそこまで賢くできてはいません。何しろ、最適解を見つけるためには何時間もかかりますし、体力にも限界があります。

ですから、私達は無意識的に「まぁまぁな意思決定」をすることで、時間を節約しているのです。この時に使われるのが、ヒューリスティックです。

心理学におけるヒューリスティックは、スピーディな意思決定ができるのが長所ですが、頻繁に間違った判断をしてしまうことでも知られています。なぜなら、判断は主観的・狭い視野のもとで行われることが多く、一定の偏り(バイアス)を含んでいるからです。

ヒューリスティックは以下の3つの大別されます。

特に、精度の高さが求められる投資における意思決定では、これらのヒューリスティックは自らを滅ぼしかねない脅威となります。しかし、私達人間全員が個人差はあれどヒューリスティックを持っています。つまり、誰しもが誤った意思決定をする可能性を持っているのです。だからこそ、私達はこれらのヒューリスティックの危険性を熟知し、対策を講じる必要があるのです。

以降、それぞれのヒューリスティックの特性と、回避するための方法をご紹介しましょう。

 

2. 利用可能性ヒューリスティック(Availability Heuristic)

利用可能性ヒューリスティック(Availability Heuristic)

利用可能性ヒューリスティック:想起しやすい事項を優先して評価する傾向。

利用可能性ヒューリスティックとは、「すぐに思いつく」ものほど優先的に考えてしまうという人間の心理特性のことを指します。

利用可能性ヒューリスティックには、以下の2つのバイアスが関係しているとされています。

a. 想起容易性バイアス(Ease of recall bias)
b. 検索容易性バイアス(Retrievability bias)

 

a. 想起容易性バイアス(Ease of recall bias)

想起容易性バイアス(Ease of recall bias)
過去の出来事や経験を思い出すとき、記憶が不正確・不完全であるために起きるバイアス。

(例)飛行機に乗るとき、死を想起してしまう。

→飛行機事故は殆ど全てがニュースなどで取り沙汰されており、想起しやすい。
→実際は、飛行機事故に遭う確率は1100万分の1しかない。
→クルマ事故で死ぬ可能性は5000分の1と、はるかに高い。
→しかし、クルマ事故は報道されることが殆どなく、想起されづらい。

 

b. 検索容易性バイアス(Retrievability bias)

検索容易性バイアス(Retrievability bias)

記憶の中からすぐに思い出されるものを優先するというバイアス。

(例)CMに出てくる商品を優先的に購入してしまう。

→CMに出ているから高品質・割安であるという根拠はない。
→CMの最も大きな影響力は「すぐに思いつく」という点である。

投資家の場合、利用可能性ヒューリスティックによって、以下のような行動を起こしてしまう可能性があります。

  • CMを出している企業の株式を優先的に買いたくなってしまう。
  • 大きな報道があると、そのイメージが拭えず、主観的な投資判断を行ってしまう。
  • 最近イベントがあった銘柄ほど気になる。

一般的に、利用可能性ヒューリスティックの影響から投資家の視野は狭まり、直感的・主観的な意思決定をしてしまいます。利用可能性ヒューリスティックを回避するためには、以下の施策を講じる必要があります。

  • 記憶に頼り過ぎない
  • 必要以上に情報の影響を受けていないか自問する
  • マーケットの全体像を掴み、資金の流れ・市場のトレンドを理解する
  • 自分の意思決定により、どのようなストーリー(仮説)を経て利益を得るのかを考慮する
  • 身近で得た情報は割り引いて考える
  • 考えたストーリー(仮説)によって成功した例・失敗した例を集計し、数値化する

他、利用可能性ヒューリスティックを活用して投資で利益を出すためのアイデア(使いやすいテクニカル指標の紹介)も以前の記事でご紹介していますので、ぜひ参考にして下さい。

参考記事1:【ご紹介】私が愛用しているテクニカル指標とその理由
参考記事2:【投資家はバカ?】複雑な指標が不必要な3つの理由

 

3. 代表性ヒューリスティック(Representative heuristic)

代表性ヒューリスティック(Representative heuristic)

代表性ヒューリスティック:関連性の高いものを高く見積もってしまう。

代表性ヒューリスティックとは、「代表的」なものほど「よくある」と勘違いしていまう人間の心理特性を指します。

代表性ヒューリスティックには、以下の5つのバイアスが関係しているとされています。

c. 基準率の無視によるバイアス(Insensitivity to base rates bias)
d. 標本の大きさの無視によるバイアス(Insensitivity to sample size bias)
e. 確率の誤認知によるバイアス(Misconceptions of chance bias)
f. 回帰の誤概念によるバイアス(Regression to the mean bias)
g. 連言錯誤によるバイアス(The conjunction fallacy bias)

 

c. 基準率の無視によるバイアス(Insensitivity to base rates bias)

基準率の無視によるバイアス

直近の出来事に影響されて事前に与えられた情報を無視して判断してしまうバイアス。

(例)コインを振って、10回連続で表が出た。次は表と裏のどちらが出る?

→表ばかり出たのだから、「次も表が出るだろう」と考える人が多い
→同様に表ばかり出たのだから、「今度こそ裏が出るだろう」と勘ぐる人も居る
→出る面は表裏どちらも五分五分であることは周知の事実だ
→しかし、実際には「今起きたこと」に注意が向いてしまい冷静に考えられない

 

d. 標本の大きさの無視によるバイアス(Insensitivity to sample size bias)

標本の大きさの無視によるバイアス(Insensitivity to sample size bias)

調査する対象が少なすぎて、得られたデータが偏ってしまうというバイアス。

(例)コインを振って、10回連続で表がでた。だから次も100%の確率で表が出る。

→10回連続でコインが表となる確率は低いもののありうることだ
→本来ならば、100回〜1000回振って、もっと多くの回数を調べるべき
→しかし、少ないデータだけで満足して自分の判断を過信する人は少なくない

 

e. 確率の誤認知によるバイアス(Misconceptions of chance bias)

確率の誤認知によるバイアス(Misconceptions of chance bias)

「割合」など、確率に左右されてしまい、そこから誤った結論に至ってしまうというバイアス。

(例)コインが表裏表裏裏表の順で出る確率と表表表表表表と出る確率はどちらが高い?

→コインの目がランダムでることから、前者と答える人が多い
→しかし、順列であるため両方とも出てくる確率は等しい(0.5の6乗=1.5625%)
→「ランダム」という言葉ばかりに気が行ってしまい、場合の数の計算を怠ってしまう

 

f. 回帰の誤概念によるバイアス(Regression to the mean bias)

回帰の誤概念によるバイアス(Regression to the mean bias)

一般的に物事は回数を経るに従い平均に近づくにも関わらず、「特殊」な状況が継続することを期待してしまうというバイアス。

(例)年間で純利益が100%伸びた企業は、翌年どのようになるか?

→翌年にも伸びると考えてしまう人が多い
→一般的に企業の純利益が100%伸びるというのは特殊な事例である
→本来ならば「平均程度の伸びになる」あるいは「頭打ちになる」のが妥当な考え
→しかし、直近の実績を過度に考えてしまい、楽観的に考えてしまう投資家が多い

(例)大リーグで打率が5割の打者の来年の実績はどうなるか?

→来年にも大きな期待をかけられることが多い
→このような例は類を見ず、特殊であるため継続することは本来考えにくい
→しかし、一般的な打率(2割〜3割)に回帰する可能性を多くの人が無視してしまう

 

g. 連言錯誤によるバイアス(The conjunction fallacy bias)

連言錯誤によるバイアス(The conjunction fallacy bias)

本来は1つのことだけが起こる確率の方が高いにも関わらず、複数の事象が同時に起こる方が確率が高いと考えてしまうバイアス。

後にも例を示しますが、「頭が良く性格も良いジョンは、きっと医者になるだろう」と「頭が良く性格も良いジョンは、きっと人気の医者になるだろう」の2つの予想では、前者の方が実現する確率が高い(医者の数は「良い」医者の数よりも多い)にも関わらず、イメージしやすく前提との関連性がある後者の方が説得力が増してしまうという矛盾が生じるのです。

(例)来年は新型のiPhoneが出る vs 来年は新型のiPhoneが出て売上実績を更新する

→後者を選んでしまう方が多い。
→これは、今までの実績を基に後者の例の方が具体的にイメージがしやすいため
→実際、前者は売上に関わる制限が無いため、確率的に起こる可能性が高い
→しかし、「今までの情報と一貫している」という誤った理由で後者が選ばれてしまう

(例)親友の恋人は異性である vs 親友の恋人は優しい異性である

→これも前例と同様で、イメージしやすい後者の方を選んでしまう人の方が多い
→しかし、確率論的には前者の方が可能性が高いのは言うまでもない

このように一見するだけでは賢明にみえる判断も、紐解いてみると「馬鹿げた」ものであることが多いです。投資家は、データを誤って使わないためにも、以下の4つを実践する必要があります。

  • 特殊な事態が起きたほど、継続する可能性は薄いと考える
  • わずかなリサーチに満足せず、少なくとも数十〜数百のケーススタディをこなす
  • 何%という確率だけでなく、「何万円」「何回」「何個」と数量も使って考える
  • 「もし」と考えた回数だけ、その可能性を割引して考える

その他、代表性ヒューリスティックに関する注意点をまとめた記事もありますので、ぜひ参考にして下さい。

参考記事:【ジャンケン心理学】投資家の2つの行動特性と3つの注意点

 

4. 確証ヒューリスティック(Confirmation heuristic)

確証ヒューリスティック(Confirmation heuristic)

確証ヒューリスティック:一番初めの判断・情報によって以降の判断が大きく左右される。

確証ヒューリスティックとは、始めに得た情報や判断、あるいは思考傾向のせいで、以降の情報収集なども都合の良いものになる傾向があるという人間の心理特性を指します。

確証ヒューリスティックには、以下の5つのバイアスが関係しているとされています。

h. 確証トラップによるバイアス(The confirmation trap bias)
i. アンカリング効果によるバイアス(Anchoring bias)
j. 連結事象と分離事象によるバイアス(Conjunctive and disjunctive events bias)
k. 知識の呪縛と後知恵によるバイアス(Hindsight and the curse of knowledge bias)
l. 過信によるバイアス(Overconfidence bias)

 

h. 確証トラップによるバイアス(The confirmation trap bias)

確証トラップによるバイアス(The confirmation trap bias)
予想に反するものではなく、予測を確証する材料を探す傾向があるというバイアス。

(例)Aという銘柄を買いたいと思った後に、その判断を指示する材料を探す。

→本来ならば、意思決定の精度を高めるため、悪材料も均等に調べるべき
→しかし、意思決定のストレスを減らすことばかりを重視し、客観性に欠けた判断をする

 

i. アンカリング効果によるバイアス(Anchoring bias)

アンカリング効果によるバイアス(Anchoring bias)

初めに得た情報に固執し、新しく新鮮な情報を無視しがちになるバイアス。固執トラップとも呼ばれる。

(例)5,000円だった株価が3,000円になったため、割安と判断した。

→初めに得た5,000円という株価に固執し、3,000円の妥当性を考慮していない
→本来ならば3,000円になった経緯・ダウンサイドリスクの見積もりを優先すべき

(例)従業員が「給料を2倍にしてください」という提案をした。

→経営陣は「2倍」という数値に縛られる
→結果として、従業員は数値を提示しない場合よりも良い給与を手にする傾向がある

 

j. 連結事象と分離事象によるバイアス(Conjunctive and disjunctive events bias)

連結事象と分離事象によるバイアス(Conjunctive and disjunctive events bias)
連結事象とは、「○○と○○が一緒に起きる」ことを指す。一方、分離事象とは「○○か○○のどちらかが起きる」ことを指す。
一般的に、連結事象は過大評価され、分離事象は過小評価されるという傾向がある。

(例)90%当たるくじに7回連続当たるのと10%当たるくじに7回中1回以上当たるのではどちらが簡単?

→90%と10%という数字に引きずられ、前者の確率が高いと考える人が多い。
→さらに「何度も当たる」ことを過大評価し「1度以上当たる」ことを過小評価している
→実際に前者が起こる確率は、0.9の7乗=47.8%である
→後者が起こる確率は、1度以上当たる=1度も当たらない場合以外全て=52.2%である

 

k. 知識の呪縛と後知恵によるバイアス(Hindsight and the curse of knowledge bias)

 知識の呪縛と後知恵によるバイアス(Hindsight and the curse of knowledge bias)
自分が知っていることは他人も知っていると考えてしまう傾向(知識の呪縛)や、物事が起きてからそれが予想可能だったと考える傾向(後知恵バイアス)のこと。

(例)ニュースを見て、とある株式を「買い」と判断した

→購入した株価が上がる前提は、「自分の後に、自分と全く同じ判断をする投資家が沢山居る」ということ
→無意識下に「同じニュースを見た人は大勢居る」と見積もってしまう
→加えて、「同じニュースを見た人は同じ投資判断をする」と解釈してしまっている

(例)東日本大震災や原発事故を「予想可能だった」と判断する

→事象が起こってみると当然のことのように思えてしまう
→しかし、事前に予想していた人が居なかったから発生したのも事実である
→自分が過去に遡ることを想像してみると、「予想なんてできなかった」の方が多い

 

l. 過信によるバイアス(Overconfidence bias)

過信によるバイアス(Overconfidence bias)
意思決定に過度な自信を持ち、自分の判断が「当たっている可能性」を高く見積もる傾向があるというバイアス。

(例)テストを受けた後、「テストの点を予想してみて下さい」という問いに答えると?

→実際の成績よりも、点数を高く見積もる人が多い傾向があった
→実際、ビジネスにおける意思決定の半分が誤りである

確証ヒューリスティックは、今までご紹介した3つのヒューリスティックの中でも最も危険な心理特性です。実際、過信や確証行為によって資産の大半を失ったというトレーダーや投資家は後を絶ちません。「自分なら大丈夫」という慢心が、投資判断を鈍らせる最大の要因なのです。投資家ならば、これらのバイアスは何としても避けなければなりません。

確証ヒューリスティックを避けるためにも、投資家は以下のチェックリストを活用しましょう。

  • 自分の投資判断の裏には必ず数値的裏付けを用いる
  • 報道などの材料を収集する際には必ずプラス材料およびマイナス材料の双方を集める
  • 一番最初に得た情報・判断は割り引いて考える
  • 自分のとれるリスク量に制限を設ける

この他、確証ヒューリスティックが危険な理由を分かりやすくまとめた記事もございますので、ぜひ読んでみてください。

参考記事1:【失敗率50%】投資家は思った以上に意思決定が下手。決定的な理由は4つもあった!
参考記事2:【アンカリング】直近75日間の株価の推移と、最新の終値は必ずチェックしよう
参考記事3:高額の買い物ほど感覚が麻痺して正しい判断ができなくなる。

 

5. まとめ:投資家は「無意識」に逆らわなければいけない。

まとめ:投資家は「無意識」に逆らわなければいけない。

本日ご紹介した3つのヒューリスティック、12のバイアスは、私達が生きる上で必要不可欠な能力です。

しかし、投資家が生き残るためには、この無意識下の意思決定能力を放棄し、より緻密で高精度な判断ができなければなりません

ここまで読んで「私は大丈夫」と思いましたか?
そうだとしたら、あなたははっきり言って危険です。過信バイアスのせいで、大きすぎるリスクをとってしまうかもしれません。

馬鹿げた失敗で資産を失わないよう、自分自身の思考・判断の愚かさには注意しましょう。投資で一番恐ろしいのは「バカな自分自身」。このことを、くれぐれも忘れないで下さいね。

偉そうなことを書いている私自身、一番気をつけなければならないかもしれません。