【諸刃の剣】複利運用が危険な4つの理由と、4つの対処法

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【諸刃の剣】複利運用が危険な4つの理由と、4つの対処法

「複利運用」の裏には、皆が思っている以上の危険が待ち構えている。

「投資の利点は複利運用できる点です。」

「今、投資を始めれば複利の力で10年後には2倍に」

投資をされている方ならば一度は見たことのある、宣伝文句。この言葉に惑わされて投資を始めたという方もいるのではないでしょうか?

「72の法則」という言葉が流行っているように、複利運用は投資を始め「させる」言葉としては非常に魅力的です。なんせ、倍々ゲームでお金が増えていく姿が想像できてしまいますからね。

しかし、現実的に考えてみると「複利運用」という言葉は重大な事実をいくつも無視しています。この事実を知らないで複利運用を実践しようとすると、必ずと言って良いほど痛い目に遭ってしまうのです。

そこで今回は、「複利運用」の4つの問題点を明らかにし、現実的に資産運用するための4つの注意点をご紹介します。必ず役に立ちますから、最後まで読んで下さいね。

 

目次

  1. 複利運用・72の法則とは?
  2. 複利運用の罠その1:「すれば」という仮定が続く。
  3. 複利運用の罠その2:利益と同じように損失も倍増する。
  4. 複利運用の罠その3:精神的な影響は計り知れない。
  5. 複利運用の罠その4:リスク管理が困難。
  6. 複利運用の注意その1:「無くなっても困らない」運用額にとどめる。
  7. 複利運用の注意その2:「率」でなく「額」にフォーカスする。
  8. 複利運用の注意その3:投資そのものを目的にしない。
  9. 複利運用の注意その4:手に負えないなら続けなくて良い。
  10. まとめ:「複利」にとらわれず、余裕をもって投資しよう。

 

1. 複利運用・72の法則とは?

複利運用・72の法則とは?

72の法則を使えば、お金を倍にするのに必要な期間を簡単に算出できる。

ご存知の通り、複利運用とは「儲けた分を上乗せし、投資のスピードを加速させる」という運用テクニックの1つです。この逆は、単利運用と呼ばれています(常に一定額だけを運用する方法)。

複利運用を説明するために使われるのが、72の法則です。
この法則の内容は以下の通り。

「年利」×「年数」=72

上に示した式に年利と年数を振り分けると、「複利運用によって資産が約2倍にできる年数」がざっくりと算出できます。

例えば、

年利「24」% × 「3」年 = 72

年利24%の資産運用を行えば、おおよそ3年間で運用資産が2倍になることが分かります。
単利運用では4年以上(100 ÷ 24 ≒ 4)かかりますから、かなりスピーディに資産を増やすことができるんですね。

保険会社や証券会社、銀行などは、この数字を巧みに使って営業を持ちかけてきます。

「コツコツ毎年100万円貯金しても、30年間で3000万円にしかなりません」

「複利で投資をすれば、毎年100万円入れて年利10%で運用すれば30年後には1億8,000万円貯まります」

「年利30%を複利で株式投資すれば、100万円が30年で26億円になります」

もちろん、ウソではありませんが、これらの提案は問題点だらけなのに気づけたでしょうか?

 

2. 複利運用の罠その1:「すれば」という仮定が続く。

複利運用の罠その1:「すれば」という仮定が続く。

「○○すれば…」という仮定を甘く見てはいけない。

複利運用の一番の問題は、「○○すれば…」という仮定があまりにも多いこと。

例えば、

「複利で投資をすれば、毎年100万円入れて年利10%で運用すれば30年後には1億8,000万円貯まります」

という宣伝文句。

仮に、1年間の年利10%が90%の確率で達成できるとしましょう。
これが、30年間続く確率ってどれくらい高いと思いますか?

答えは、たったの4.24%(= 0.90の30乗)です。たとえ高い確率で成功するとしても、長期的に見ればその言葉どおりになる確率なんて殆どありません。

短期的な数字に誤魔化されて、長期的な危険を見失ってはいけません。

 

3. 複利運用の罠その2:利益と同じように損失も倍増する。

複利運用の罠その2:利益と同じように損失も倍増する。

利益が大きくなるのではなく、「変動幅が大きくなる」のだ。

複利運用という言葉は、「効率的に資産を運用する素晴らしいメソッド」という謳われ方をしますが、その実、中身は全く異なります。

複利運用の真髄とは「資産の変動幅が膨らむ」というもの。

1,000万円で考えると明らかで、全額運用するとなると毎日のように日給(2〜3万円)以上の資産変動があるのは日常茶飯事なのです。

 

4. 複利運用の罠その3:精神的な影響は計り知れない。

複利運用の罠その3:精神的な影響は計り知れない。

投資額が増えることで、精神的に病んでしまう方も多い。

「資産の変動幅が膨らむ」と前項でご紹介しましたが、この影響は投資家の精神に大きく影響します。

特にこの影響は「収入が少ない人」に大きなインパクトをもたらします。また、値動きの大きな銘柄に集中して投資を行うデイトレーダー・スイングトレーダーにとっても大きな負担がかかります。

1,000万円を持っていて、株やFXなどで積極的に投資をされている方ならば、日毎に数%の資産変動があるのが普通。額面にすれば10〜99万円の変動に晒されるのです。

「今月の給料を全て吹き飛ばしてしまうかもしれない」という恐怖感から、並の人ならば不眠症になったり食欲を失うこともあります。

「率」で考えると大した恐怖は感じられないかもしれませんが、我に返って「額」に目を移すと、そのリスクの大きさに圧倒されてしまうものです。

 

5. 複利運用の罠その4:リスク管理が困難。

複利運用の罠その4:リスク管理が困難。
複利運用では、ポジションを柔軟に変更する必要があります。投資の玄人ですら苦労するリスク管理ですから、初心者にとっては身を滅ぼす大きなミスをする可能性があります。

特に、1度大きな損失を被ってしまうと、取り返すのが難しい上、精神的に立ち直れないダメージを受けてしまいます。

特にありがちなのが、「リスクを取り過ぎてしまう」というミス。利益を得ている時には、自分が神になったかのような気分になれますが、何回か損が続くだけで数年かけて積み重ねた利益を全て吹き飛ばしてしまうのです。

FXや信用取引のようにレバレッジを利かせて、保有資産の何倍も資金を運用している方は、更なる注意が必要。最悪の場合には「借金」を負ってしまう可能性までも孕んでいるのです。

 

6. 複利運用の注意その1:「無くなっても困らない」運用額にとどめる。

複利運用の注意その1:「無くなっても困らない」運用額にとどめる。
複利運用を行うのならば、「無くなっても良い」と思える資金だけを運用するようにしましょう。

投資の世界には、教習所のように「命を守る手段」を教えてくれたりはしません。
ですから、生活に関わる資金や今後必要になる資金まで運用すれば、ノイローゼになるのは必至です。

預金など、殆どノーリスクなものに資金を回すならまだしも、株式やFXなどに資金を回すとなれば、(確率的には低いにせよ)「最悪ゼロになる」ことを想定しておくべきです。

「最悪でも、必要ないお金が無くなるだけ」

このイメージが掴めるだけで、冷静な自分を保ちつつ、余裕を持って投資を続けることができます。

 

7. 複利運用の注意その2:「率」でなく「額」にフォーカスする。

複利運用の注意その2:「率」でなく「額」にフォーカスする。

「資産の1%」

この値だけを見ると、大したコトには見えないかもしれませんが、保有資産が1億円の方にとってはオオゴトです。

「率」を使って全体を俯瞰するのは非常に重要ですが、自分で資産運用を行う場合は「額」にも気を配らなければ投資を続けるのは困難です。

例えば、「一日にとれる損失は10万円まで」「100万円損したら1ヶ月運用をやめる」などのルールを設定しておくことで、冷静さを失う前に投資をやめられます。

他にも、身近なもので資産変動を置き換える癖をつけるのも良いでしょう。

例えば、「1万円の損で、飲み会3回分」などが分かりやすいです。

そもそも投資なんて、誰にも強制されているものではありません。(契約などしていない限り)自分に限界を感じたら、運用そのものをやめてしまいましょう。

 

8. 複利運用の注意その3:投資そのものを目的にしない。

複利運用の注意その3:投資そのものを目的にしない。

投資を始める理由は人それぞれですが、多くの方の目的は「豊かな生活を手に入れるため」であるはず。しかし、複利運用に慣れてくると、「投資のために投資する」方が増えてきます。これでは本末転倒でしょう。

実際「投資中毒」に陥っているトレーダーが多数います。
大きな成功を収めているトレーダー、特に「必要以上のお金を稼いでいる投資家」は投資中毒に陥っていると言っても過言ではないでしょう。

トレーダーにとっては羨望の的であるジェイコム男・BNFさんもその1人。

「投資するのが辛い」

彼は投資に対してネガティブな印象を持っているのに関わらず「やめられない」と嘆きつつトレードを続けているのです。

複利運用を考えている方は、

  • 「本当に運用する必要なんてあるの?」
  • 「このままじゃダメなの?」

と一度、立ち止まって自問してみましょう。

 

9. 複利運用の注意その4:手に負えないなら続けなくて良い。

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(成功者はほんの一握りですが…)
複利運用を上手く成功すると、文字通り巨万の富を得ることができます。

しかし、運用額が増えるほど投資に必要な時間はどんどん増えていきます。
私のクライアントにも、「自分の手に負えない運用額になっている」という方がいらっしゃいました。

利益を出すと複利にまわしたくなる気持ちも分かりますが、その前に、はじめに掲げた目的を思い返してみて下さい。複利運用する必要が無いのならば運用額を維持したり、減らしたりする選択肢があるのを忘れないようにしましょう。

大成しているトレーダーの方には、手に負えない資金を不動産や貴金属などの現物資産に回して方が多いようですよ。ご参考までに。

 

10. まとめ:「複利」に囚われず、余裕をもって投資しよう。

まとめ:「複利」に囚われず、余裕をもって投資しよう。

複利運用と聞くと、どうしても「効率的」という印象を抱いてしまうもの。
しかし、その裏にはこれまで以上の危険が待ち構えていることを肝に銘じておきましょう。

  • 運用額を増やす
  • 運用額を維持する
  • 運用額を減らす

あなたには、常にこれら3つの選択肢があるのを心の片隅に置いて下さい。

「複利で運用しなきゃダメなんだ!」
と攻撃的で居るのも良いですが、

「疲れたから運用を減速しよう」
と、一歩下がる勇気・柔軟性も同様に重要であることを、お忘れなく。